太鼓に乗せたら面白そう
そんな瞬間的なひらめきをきっかけに始動したHUNGERのセカンド・ソロアルバム。
雅楽の音色とともにスタートする本作は、「俺は今、ドラムじゃなく太鼓を選んだ。それには理由がある。俺たちのハートビートだ」と述べられているように、ひらめきは制作とともにモチベーションへと姿を変えたことがうかがえる。
規則的なワンループの美学を持つヒップホップとは打って変わり、元来太鼓の持ち味でもある変則的、かつエネルギッシュな打ち込みに呼応するHUNGERのラップは、予想以上に爆ぜまくる。また、和太鼓独特の“間”が活きたトラックだからこそ、HUNGERのフロウも滑らかに律動を刻む。
新型コロナウイルスの影響で、全国津々浦々で開催予定だったお祭りも延期や中止が余儀なくされるなか、新しい祭りの形を提示した本作。
「ヒップホップはパーティだ」
そんなヒップホップカルチャーの根底に流れる要素で作り上げられたことも、きっと彼の無意識から生まれた本能の一種。
HUNGERが“囚われの向こう“に見つけた回答に、今こそ舌鼓を打ってみたい。
(佐藤公郎)
HUNGER(GAGLE)
仙台拠点のヒップホップユニット“GAGLE”のMC。
雪国育ち。ラップの可能性をハングリーに追求する北の異端児。ライブを軸にした粘り強い活動で着実に信頼を獲得。
日本のヒップホップクラシックとの呼び声が高い「雪ノ革命」「屍を越えて」etc… 名曲を生み出した。
2016年には旅とセッションをコンセプトとしたアルバム「SUGOROKU」をリリース。
近年はラジオ番組のMC、審査員などマルチな活動でヒップホップカルチャーの普及に貢献。
2003年より「松竹梅レコーズ」を主宰。地元仙台のアーティストの音源制作や海外のアーティストとの連携プロジェクト。
現在まで100作品以上リリースしている。
そして2020年夏、前人未到の「和太鼓とラップ」をテーマにセカンドアルバムをリリース予定。